5月末、真鶴半島の森林探訪をした折、「イヌビワとイヌビワコバチの共生」を説明するのに、
大変面白い写真が撮れたのでごらん下さい。
イヌビワは神奈川県の海岸地帯の山林には、沢山見られるイチジクの仲間の樹木です。
その実はイチジクを小型にした、口径1〜1.5cm程度で、これを果嚢(かのう)と呼んでいます。
イチジクもそうですが、花はこの実の中に咲きます。
説明をすると大変面白い話になるのですが、長くなるので省略します。「イヌビワ」はこの果嚢の
中に寄生する「イヌビワコバチ」により、受粉して種子をつくり、一方、イヌビワコバチはこの
「イヌビワ」の果嚢がなければ繁殖できません。いわゆる持ちつ持たれつの典型的な共生関係に
あります。最初の写真は「イヌビワ」です。すでに果嚢からでた「イヌビワコバチ」の雌成虫も
写っています。次の写真は果嚢を割ったものです。中に果嚢から飛び立つ直前の「イヌビワコバチ」
が沢山見られます。ただ、雄が見つかりません。実は雄は羽がなく交尾することのみがその役目で、
一生をこの果嚢の中で終えます。
珍しいのは、はからずも「イヌビワオナガコバチ」が一緒に写っている事です。尾っぽが長く見える
のがそれです。この「イヌビワオナガコバチ」は果嚢にこの尾っぽを差し込んで産卵し、その幼虫は
すでに果嚢の中に虫こぶをつくって暮らしている「イヌビワコバチ」の幼虫を襲って虫こぶをのっとり
成長するのです。丁度、鶯などの巣に托卵する「かっこう」や「ほととぎす」に似ています。
(真鶴半島)
2009年5月末日 撮 影 宮本 聰
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