「ひっつき虫」の3種類を取り上げます
秋は多くの植物たちが子孫を残すために種まきをします。種まきの方法はそれぞれ
特徴があります。例えば
@ 風に乗ってタネを遠くへ飛ばすもの(タンポポなど)
A 自分の力で種を飛ばすもの(カタバミなど)
B 人や動物にくっついてタネを、運んでもらうもの(Topicsの課題)
C 鳥に食べられて遠くへ運んでもらうもの(ガマズミなど)
D 重力散布型(どんぐりなど)
E 水に流され遠くへタネを、運んでもらうもの(ジュズダマなど)などががあります。
このTOPICSではBの人や動物にくっついてタネを運んでもらう、別名「ひっつき虫」
の2〜3を取り上げます。
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【リュウキュウヌスビトハギ(琉球盗人萩)マメ科、多年草】わが家の近くにある
スーパーマーケットに沿った歩道を歩いているとき、ズボンの裾に奇妙な莢がくっつ
いているのに気が付きました。よく見ると植物の莢でした。山歩きで靴やズボンに良
くくっつく“ヌスビトハギ”の莢に似ているのですが、ヌスビトハギは莢のくびれ
(節果)が一つなのに、この莢は2〜4つあるのです。
さてはオオヌスビトハギ(大盗人萩)?と思いながら図鑑を調べてみたところ、どうも
リュウキュウヌスビトハギに似ているようでした。あるいは最近の外来種かもしれませ
ん。ここではリュウキュウヌスビトハギとしておきます。
タネの入った莢の表面にはカギ型の剛毛がびっしり生えており、これが靴やズボン動物
の身体にくっついて種まきされるのです。
ヌスビトハギの”ヌスビト(盗人)“と名付けられたのは、莢の形が泥棒が家の中を”
抜き足差し足”歩いた足袋の足跡になぞえられたということです。
池波正太郎の“鬼平犯科帳”を読まれた方なら想像がつくと思います。
“ひっつきむしの”のエースとも言えるリュウキュウヌスビトハギがスーパーマーケッ
トの敷地にあることに驚き、苦笑した次第です。
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【オオバコ(大葉子)オオバコ科、多年草】は,
皆さんよくご存じと思います。
子供のころの遊びで、花茎を抜いて、相手の茎と交差して引っ張り、切れた方が負けと
いう遊びでした。オオバコは草丈が低いので、背丈の高い草のある場所では生育できま
せん。そこで考えたのが、タネが動物や登山者にくっついて山道や人が多く遊ぶ公園の
広場などで繁殖するのです。踏みつけに強い草です。登山経験の多い方は、かなり高い
山の山道でもオオバコを見かけたことがあるのではないかと存じます。
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【チカラシバ(力芝)イネ科、多年草】は、遊歩道や公園でもよく見かける草です。
名前の由来は葉をつかんで引き抜こうとしても頑強で、相当な力が必要なので、この名
がついたようです。茎の上部に円錐状に花が集合し、種子の上部には剛毛があり、これ
が人や動物に突き刺さって種子が運ばれます。
“ひっつきむし”に該当する植物の種子散布は数多くあるのですが、とりあえず
ここまでとします。

【リュウキュウヌスビトハギ(琉球盗人萩)】
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【リュウキュウヌスビトハギ(琉球盗人萩)】の莢
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【オオバコ(大葉子)】の種子穂
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【チカラシバ(力芝)】の種子穂
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