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今月のTopics

【やどりき沢に棲むプラナリアとサワガニの珍しい生態】

7月号
 

   人々の行動制限がかなり緩和されたこともあって、また全国的にコロナ禍の大波が再来
   していますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
   6月のTOPICSとして、神奈川県のやどりき水源林の概要を説明しましたが、今回(7月)
   は「やどりき沢に棲む珍しい生態2題」を取り上げたいと思います。
   やどりき水源林に降った雨は夏でも水温20℃前後の「やどりき沢」となって流れ出て
   いますが、この沢にもいろいろな生き物が棲んでいます。
   環境省は、河川の水質をそこに棲む水生生物によって、「きれいな水」「少しきた
   ない水」「きたない水」「大変きたない水」の4段階に分類しているのですが、やど
   りき沢で採集される水生生物は、当然のことながら、すべて「きれいな水」に属して
   います。(ホタルの幼虫が棲む水は「少しきたない水」になっています)その中で、
   今回は、身体のどこを切っても、いくつに切っても、また再生して元の姿になる
   「プラナリア」と「サワガニの子育て」について取り上げます。


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         【プラナリア(別名:ウズムシ プラナリア科)】
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   ヒル(蛭)に似ていて、あまり良い気持ちがしないのですが、よく見ると
   3角形の頭部に眼がついていて、とても可愛く感じます。
   子供達にも大変人気があります。口は胴体の中ほどにあります。比較的流れ
   が速い水温の低い岩石の下にいて、カゲロウやカワゲラなどの幼虫をを襲っ
   て食べる肉食性の生きものです。
   この生きものの奇想天外な特徴は、この生体のどこでも、いくつに切っても
   1か月ほどで再生して元の姿になることです。


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  模式写真をご覧ください。摸式図の写真の点々は細胞を表現しているのですが
  この細胞はすべて再生能力があるのです。生体のどこを切っても、横に切って
  も、縦に切っても、再生して、一匹の身体になるのです。
  このような細胞のことを全能性幹細胞(ぜんのうせいかんさいぼう)と言います。
  京都大学の山中教授のノーベル賞になった「ips細胞」は「人口多能性幹細胞」
  と言って、これからの医療の発展に大いに期待されていますが、プラナリアに
  ついては今のところ、医療などの利用価値はないようです。


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               サワガニ(サワガニ科)
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   サワガニについてはご存知の方が多いと思います。沢などの流れの緩やかなきれいな
   水に棲んでいます。このサワガニの何が珍しいかと言いますと、子育てです。
   多くのカニは陸地や河川に棲んでいても産卵が近づくと、親ガニは海辺に移動して、
   海や海の波打ち際(ぎわ)で産卵や幼生を放ち、その幼生は海でカニの生体になって、
   また陸地や河川に戻るのです。
   ところがサワガニの場合は雌ガニの腹部中で卵をかえし、その稚ガニをお腹一杯に
   抱えて子育てするのです。稚ガニを抱えた写真をご覧ください。
   (持っているシワの多い手は私の手のひらです)写真程度の大きさになったら子ガニ
   を冷たい谷川の水に放って、それぞれ成長します。
   さぞや母ガニの苦労は大変ではないかと思います。やどりき沢では6月〜8月ごろ、
   大小の子ガニが良く採集され、これも子供たちに人気があります。

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